FPが教える「火災保険とは?」徹底解説

man
「意外に知らない火災保険について、火災保険は火事の時の補償でしょ?」

というくらいの認識しかない方が多いのでは、ないでしょうか。

特に賃貸にお住まいだと、入居時にすすめられて、そのまま契約したから実際の補償内容までわからないうえに、保険料が高いのか安いのかも見当がつかないと、

man
「火災保険に対してとりあえず契約しているから安心でしょう?」

とあまり意識的に捉えていないようだと、思わぬところで損をしているかもしれません。

あまり頻繁に契約内容を変更しない、火災保険でも選び方ひとつで、補償範囲や保険料が随分と違ってくるため、火災保険について詳しく解説していきます。

火災保険の契約の仕方

火災保険の契約の仕方

それでは、火災保険はどのように契約するのでしょう。

火災保険は、賃貸の物件と所有している物件では少し異ってきます。また中古物件と新築の物件でも、保険金額の設定方法の違いなどもあり、火災保険を契約するときには様々に角度から判断する必要があります。

賃貸契約の物件

建物が賃貸であれば、火災保険の契約で建物については、大家さんや管理会社が契約しています。そのため物件に住む人は、ご自身の家財道具のために火災保険を契約することになります。

所有している物件

分譲のマンションや戸建を所有している建物の場合には、火災保険を建物と家財道具の両方とも契約することが一般的です。

建物のみ又は、家財のみの契約も可能ですが、あまりおすすめはしていません。

建物の構造について

火災保険の保険金額の設定、物件種別があります。

建物の構造によって火災のリスクが高い、木造住宅は保険料が高くなり、コンクリートや鉄骨の物件では、燃えにくい素材のため保険料が安くなると言うことです。
  • H構造:木造住宅(2×4を含む非耐火の建物)
  • T構造:鉄骨住宅(耐火基準を満たしている2×4の建物)
  • M構造:コンクリート住宅(主にマンションまたは4階以上の建物)

建物の補償範囲や保険金額について

建物の補償範囲や保険金額について

建物の保険金額は、物件の時価額(実際の現在の価値)で2種類の計算方法があり、その金額をもとに、火災などによって損害を被った時に補償されることになります。

ひとつは、新築の場合は購入金額から「年次別指数法」で、計算できるため問題ないのですが、中古物件は新築当初の物件価格がわからないこともあります。

その際は、物件の所在地や面積から割り出す「新築費単価法」を用いて計算していきます。

次別指数法

新築時の物件価格に年数に応じた指数(建築費倍率)をかけて評価額とするため、実際の物件の金額に基づいていた、保険金額を設定できます。

新築費単価法

物件の所在地から標準的な建築費(地域別指数)に、面積をかけることで、評価額を算出すため、年次別指数法よりは、「少しおおまかな保険金額の設定」となります。

以上のように、基本的な建物の条件によって火災保険の保険金額が設定されていきます。

さらに、火災保険には建物と家財を別々に補償範囲と保険金額が設けられているため、それぞれを説明していきます。

man
「火災保険で補償される建物の補償範囲は、どこまでのことでしょう?」

これについては、マンション(集合住宅)と戸建の物件で少し異なってきます。

では、賃貸ではなく所有しているマンションの場合、共有スペース(エントランス・外壁・外廊下・ベランダ)については、対象外になります。専有スペースのみになるため、マンションの部屋の中側という認識です。

そして、戸建の場合は、家そのものだけではなく、門や外構部分も建物となるため、「思っている以上に補償範囲が広く」なっています。

家財の補償範囲や保険金額について

家財の補償範囲や保険金額について

家財とは、すなわち「日常生活で使用する家財道具」のことですが、火災保険で言う家財と一般的な家財の認識が少し異なることもあるので説明していきます。

火災保険の家財補償の保険金のは、だいたいどの保険会社も口数で設定することが多く、1口(100万円)となっていれば、1口あたりの保険料が設定されているため、予算にあわせて何口契約するかを決めれば良いということになります。

家財の補償範囲についてですが、日常生活で使用する「動産」と考えるとわかりやすいですね。

man
「家の中にあるものは全て家財になるのでは?」

と捉らえてしまっては、火災保険では家財ではなく「建物と判断」されることもあります。

火災保険では、「入居時にあらかじめ設置されているものは建物、それ以外が家財道具」となります。

例えばキッチにビルトインタイプのオーブンレンジが設置されているとしたら、それは「建物」の補償範囲となり、移動可能な家電としてオーブンレンジを購入してキッチンに置いている場合は「家財」となる訳です。

man
「それでは、実際に家財補償は何口入れば良いのでしょう?」

口数が多ければ多いほど、保険料が高くなってしまいます。これについては、考え方でかなり違ってきますが、火災で全焼した時に、所有している家財道具を全てを火災保険で補償したいとなれば、それなりの金額になります。

また、とりあえず生活できるだけの家財道具が補償されれば良いという考えであるなら、口数を減らして保険料を安くすることも可能になってきます。

大人ひとりあたり100万円として、高額なグランドピアノなどあればその分をプラスするという考え方もあります。

火災保険の補償内容について

火災保険の補償内容について

火災保険では、火災以外に「水災・風災・雪災・洪水」のような自然災害も補償対象になります。

どこまでの範囲を補償にするかは、契約する時にプランを選ぶことで変わってきますが、本当に必要がある補償かどうか、保険料の無断にならないよう、適切に判断して検討していきましょう。

火災補償

火災の時はもちろん、落雷や爆発も補償対象になります。

自宅から火災は発生した時だけではなく、放火や隣の家からの火災で火が飛んできたと言うような、もらい火も補償の対象です。

特にもらい火は、隣の家に責任があったとしても、失火法により法律上、自分の家の火災はご自身の火災保険を使うことになります。

風災補償

自然災害の中で、台風などの大雨や竜巻による被害以外には、雪や雹による被害も風災で補償の対象になります。

最近の異常気象から、風災の被害が拡大しているため、「火災補償とセット」で、風災はつけていた方が良い補償内容になります。

水災補償

水の災害といえば、大雨による川の氾濫で洪水が発生した時が想定されます。

風災補償の中にも大雨が対象になっていますが、水災は大雨や融雪洪水によって、建物が浸水した場合に、水災で補償されるとなります。

そのため、浸水の可能性がないマンションの高層階であったたり、立地が高台になっている物件では、あまり必要性がない補償となります。

盗難や水濡れの補償

火災保険では、自然災害以外の被害についても補償範囲に含めるように選べます。

盗難の補償では、家財道具の盗難被害だけではなく、建物の損害(窓ガラスや鍵を壊されたなど)も補償対象になります。

水濡れの補償については、水道管からの水漏れにより天井や壁に被害が発生したり、家財が水浸しになった際に補償となり、あくまで建物と家財が補償の対象で、水道管そのものは対象外です。

破損や汚損の補償

火災保険の補償というようりは、「日常生活で偶然に起こった建物の損害や家財の損害」が補償の対象になります。

例として、キャッチボールをしてたボールで窓ガラスを割ってしまったとか、いたずらにより外壁に落書きをされた、というようなことが補償範囲の対象になります。

電気的や機械的部分の補償

この補償については、火災保険にあまり重要ではない特約となります。保険会社によって設けられいない特約でもありますが、簡単に説明しておきます。

建物の電気設備の配線部分に、何かしらの故障が発生した時が補償の対象ですが、保証期間中は対象外、経年劣化も対象外となるうえに、特約の保険料がかなり高く設定されています。

よほど何か補償するに値する対象物がないようなら、あまりおすすめできる特約ではありません。

火災保険は、補償される範囲が広く、必要な補償を上手に選んでおくとかなり安心でいる保険でもあります。

火災補償や風災補償はセットプランになっていることがほとんどですが、水災補償は立地条件によるため、選び方として、ハザードマップで過去に水災の被害が発生しているか見極めて補償を検討することをおすすめします。

その他の盗難や破損のような補償は、保険料の予算に余裕があれば検討するといった補償で、必要なければ外しても本来の火災保険と考えればそれほど問題ないでしょう。

火災保険の保険期間

火災保険は、「1年単位で最長10年まで契約」できるようになっています。

よく賃貸契約をすると物件の契約年数とあわせて、火災保険も2年で契約することが多いでしょうが、持ち家になの場合になると、できるだけ長期間の5年や10年で契約してしまうほうが、保険料が割安になるのでおすすめします。

また、住宅ローンがある場合は、融資元から火災保険を最長の10年と指定されることもあるため、新築で火災保険を契約する際には、あらかじめ問い合わせておく必要があります。

保険期間途中の見直しについて

火災保険は、自動車保険のように毎年見直す必要はないのですが、家財補償をつけている場合には、家族構成によって家財が増えたり減ったりすることがあるため、保険の更新時に検討してみると良いでしょう。

例えば、子供が小さいうちは家財の破損も心配になるので、補償の範囲を広くして家財の保険金額も高くしていたが、子供が独立した後は、夫婦二人になり家財道具も少ないくなります。

そして破損のリスクも考えにくいとなってくれば、補償範囲を狭くしたり家財補償を減らしてみるといったこともできます。

地震保険

地震保険

昨今は、何年も前から日本における地震の発生率の高さには脅かされますね。

地震の際の補償として、地震保険がありますが、地震保険は「単独で契約」できません。必ず、火災保険と契約している保険会社で、地震保険もあわせて契約できることになります。

そして契約する火災保険がベースになり、その保険金額から地震保険の保険金額を設定することに定められています。

地震保険は、民間の損害保険会社と国の機関とで保険金をまかなっているため、火災保険とは少し内容が異なります。

地震保険の保険金額

建物も家財にも、地震保険をつけるこができますが、火災保険と同じ保険金が、設定ができる訳ではないのが、地震保険になります。

地震保険では、建物も家財も火災保険の保険金額から、「30%から最大でも50%」までしか保険金が支払われないことになっています。

これについては、火災保険と地震保険の考え方が根本的に違っていることを理解している必要があります。

火災保険は、被害があった際に建物を元どおりにする費用として保険金を設定していますが、地震保険の場合、

man
「最大でも保険金額が建物の50%なら物件は元どおりに、建て直せないのでは?」

と思いますね。地震は火災と違って、地震が発生した地域一体の広範囲で被害が発生するため、損害額が膨大になることが予測されます。

となってくると1件あたりに、火災保険と同様の保険金を支払うことが難しくなります。地震保険を契約しているのに、保険金が充分に支払われないとなると困りますね。

そのために、民間の損害保険会社でまかないきれないことも考えられるため、「国との共同運営」で地震保険が成り立っています。

そして、火災保険と異なる大きな点は、建物の建て替え費用ではなく、当面の生活再建費用のための補償ということになるのです。

地震保険の補償範囲

地震によって火災が発生した時には、火災保険では補償されないことをご存知でしょうか?また津波による浸水も、火災保険の水災では対象になりません。

洪水や川の氾濫は、気象状況によるもので、津波は地殻変動により発生するため、地震保険の補償対象ということになります。

よく、地震保険を契約していても保険金が支払われないと思っている方が多いので、もう少し詳しく説明していきます。火災保険のように、被害にあった「損害額全てが補償される訳ではない」のが、地震保険です。

地震保険の保険金の支払い方法は、大きく分けて「全損・大半損・小半損・一部損」というように4段階で、被害を判断します。

保険金はそれぞれの損害割合によって支払われるので、思った以上に保険金が支払われないとこも起こり得ます。

さらに、建物の主要構造部(屋根や柱)に損害が被っていない「門・垣・塀」のみの損害は、地震保険から補償されません。

地震保険の保険金が支払われる割合

  • 全損:建物の時価50%以上(延べ床面積の70%以上)・家財の80%以上の損害
  • 大半損:建物の時価40%以上〜50%未満以上(延べ床面積の50%以上〜70%未満)
    家財の60%以上〜80%未満の損害
  • 小半損:建物の時価20%以上〜40%未満(全損・大半損・小半損にいたらない浸水など)
    家財の30%以上〜60%未満の損害
  • 一部損:建物の時価3%以上〜20%未満(延べ床面積の20%以上〜50%未満)
    家財の10%以上〜30%未満の損害

地震保険の保険金額の支払い例

火災保険の保険金額を1,000万円、地震保険(50%)は500万円で設定した場合に、以下のような保険金額は支払われるということです。

  • 全損:500万円
  • 大半損:300万円
  • 小半損:150万円
  • 一部損:25万円

地震保険を契約したほうが良い理由

man
「火災保険と少し異なり、地震保険では充分な保険金が支払われないようなら、地震保険を契約する必要があるのでしょうか?」

結論から言うと、「地震保険を契約しているほうが良い」でしょう。

地震による被害は、一時的に避難生活を送ることも想定できる点や、ご自身の建物が半損くらいあっても、被害状況によって、その地区の建物を全損と認定されることもあります。

地震が起きたあとに、どのような生活が待っているか?と考えると、地震保険を契約しておいて無駄になることはないでしょう。

最近では、耐震物件や免震物件のように、とても地震に強い建物が多くあります。

man
「新築だから大丈夫となはずだとか。」
「地震に強い建物だから地震保険い入らない。」

という考え方は、あまりおすすめしません。地震によって隣の家から失火して火災なることや、建物の被害がなくても大きな揺れによって、家財の大半が損害を被るこもあります。

teacher
火災保険は「建物+家財」地震保険は「家財のみ」という契約方法も可能になるため、保険料が高いと感じる場合には、補償内容を検討してみても良いのではないでしょうか。

火災保険は複数の保険会社で契約する必要がない

火災保険は複数の保険会社で契約する必要がない

生命保険のように、いくつも保険の契約ができないのが火災保険です。

実際は複数契約できないこともないのですが、保険金は建物の時価までの支払いとなるため、火災保険の複数契約は、あきらかに保険料の無駄になってしまいます。

例外としては、積立式の火災保険を契約しており、まだ満期にならないけれど、新築を購入したら保険金額が足りないといったケースがあります。

積立式の火災保険は、保険期間の途中で解約すると積立金が戻ってこないため、満期まで契約してほうがよいですね。

但し、契約している保険金額が2,000万円だとして、5,000万円の新築を購入した場合に、保険金が3,000万円足りなので、そういった時には契約している積立の保険会社で上乗せするか、他社で3,000万円分の火災保険を契約するといった方法もあります。

火災保険の選び方

火災保険の保険金額についてや補償の範囲について述べてきましたが、では実際に火災保険を契約する時にはどういった注意が必要なのでしょうか。

どの保険会社も、基本的な補償はそれほど大きな違いはありません。

その中でも、気をつけたい補償が「風災補償」と「水災補償」になります。この2つの補償については、保険会社によって補償の範囲や補償される保険金額に違いがあり、契約する時にしっかり把握しておくことをおすすめします。

特に「風災補償」では免責金額の設定ができるため、保険料が安いと思ったら免責があり自己負担が20万円だったとか、「水災補償」では、浸水が対象だと思ってたけど、床下浸水が対象にならなかった、などと思わぬところで保険金が支払われないこと困りますね。

それ以外に、地震保険については、家財の損害の場合に、大型テレビ1台だけの損害になると、所有している家財全体の10%にも満たないたり、保険金が支払われないということになります。

火災保険も地震保険も、どのような時にどれくらいの損害で保険金が支払われるかをよく把握したうえで契約するようにしましょう。

補償プランも、保険会社によってセットプランしか選べないことも多く、マンションなのに水災がセットになるようなら、他社も検討してみることも必要になってきます。

teacher
いくつもの保険会社の見積もりをとるのは、時間も労力もかかるため、インターネットの見積もり比較サイトをうまく利用してみると良いので、ご自身にあった火災保険を無駄なく選んでいきましょう。

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