火災共済の火災保険と違うメリットデメリットとは?火災共済を選ぶべきなのはどんな人?

火災共済とは名前は聞いたことがあるけど、よく知らないという方は多いのではないでしょうか。

今回は、実際に火災共済とは何なのか、火災保険と何が違うのか、火災共済はどのようなメリット、デメリットがあるのかなどを詳しくご紹介していきたいと思います。

火災共済とは

火災共済とは

火災共済とは、民間の火災保険と同様に、災害時や事故にあった際に、住宅や住宅の敷地内にある家財に損害が生じた場合に、損害に対し補償を受けることができる保険です。しかし、民間の火災保険は不特定多数の誰でも好きな保険会社を選択して保険料を支払い加入することができるのに対して、火災共済は原則ある団体に所属している組合員のみが加入できるものになります。組合員同士、困った時に助け合えるよう、互いに掛け金という形でお金を出し合い運営しているものとなります。

よって、火災保険と異なり、加入できる人は特定の方となりますし、管轄している省庁や、定められている法律とも異なります。詳しくご説明していきます。

火災保険との違い

火災保険との違いを表にまとめました。

火災保険と火災共済の比較表

火災共済民間の火災保険
①事業形態非営利団体営利団体
②監督官庁農林水産省、厚生労働省など金融庁
③根拠法令協同組合保険法など保険業法
④加入条件など原則として組合いのみ

(一般の者も、準組合員として会費などを支払えば加入することができる場合がある)

保険料を支払えば誰でも加入することができる
⑤受取人が請求して受け取るお金共済金保険金
⑥加入者が支払うお金掛金保険料
⑦剰余金が生じた場合に加入者に払い戻されるもの割戻金配当金(特別な契約がない限り、原則払い戻されることはない)
⑧保障範囲が異なる「火災」

「風水害(自然災害)」

「火災、落雷、破裂、爆発」

「水濡れ」

「落下、飛来、衝突」

「盗難、損傷、汚損」

「騒擾」

「風災、雹災、雪災」

「水災」

⑨地震保険の扱い独自の地震保険

政府の運営の地震保険には加入できない

火災保険に加入することで、政府運営の地震保険に加入することができる
⑩地震保険の保障額火災の保障額の20%程度火災保険の保障額の50%
⑪特約の種類少ない多い

①事業形態

火災共済の大きな特徴と言えるのが、この事業形態が非営利団体であるということです。

火災保険は、もちろん民間の保険会社が運営していますので利益を追求する営利団体となります。保険の加入者から保険料を受取り、有価証券などを購入し、貸付金などを行い運用し、利益を生み出し、企業として成長していきます。民間の保険会社の中で大手と言われる保険会社は創業100年を超える大企業もたくさんあり、資本金も莫大な企業が多数あります。それゆえCM広告なども頻繁に行われ、火災共済よりもより一般的となっている状況であると考えられます。

しかし、火災共済においては、非営利団体ですので利益は追求しません。加入者から支払われる掛け金は、団体が運用を行ったことで利益がでれば、決算時に加入者に割戻金として返金されることになります。CMなどの広告も民間の保険会社と比較すると控え目であり、団体員が主に加入者となっている団体が多くなっています。加入者は、団体に所属する者が対象となっていますので、火災保険と同じような補償内容であっても掛け金が保険料よりも割安に設定されており、団体に所属する組合員が加入するにはメリットが高いと言えます。

ただし、原則、団体に所属する組合員のみが加入することができる保険ではありますが、一般の方でも会費などを支払えば、加入できる場合があります。広告費なども控え、運営費なども安く済ませているため、割戻金があった場合などを考えると、実質の掛金は、民間の火災保険よりもかなり安く済む場合もあります。保険料の節約にこだわりがある方等も、団体に所属していなかったとしても検討してみてもいいかもしれません。

②監督官庁

火災共済は、複数の団体がそれぞれ独自の共済を販売しています。どのような共済があるかというと、農業協同組合のJA共済、都道府県ごとに運営されている都道府県民共済、また労働組合などが運営する全労災などがります。さらに火災保険の監督官庁は、一括で金融庁であるのに対し、火災共済の監督官庁は、それぞれの団体により異なります。

例えば、JA共済は農林水産省、全労災や都道府県民災は厚生労働省となります。同じ火災共済であっても、監督官庁さらには次の項目の根拠法令も異なり、共済の内容も少しづつ異なり、それぞれの組織に応じた特徴があります。一般の方でも加入できる火災共済であれば、自分に適した補償内容があれば加入するとメリットが高いと言えます。

③根拠法令

民間の火災保険では、保険法を基準に定められていますが、火災共済に関しては、監督官庁も異なり、また組織運営の目的なども異なるため根拠法令も、それぞれの共済により異なります。

例えば、JA共済であれば農業組合法、全労災や都道府県民共済であれば消費生活協同組合法となっています。

④加入条件

民間の火災保険では、不特定多数の一般人が誰でも好きな火災保険を選択することができるのに対し、火災共済は、特定の条件を満たした者を対象とした保障制度となっています。特定の地域に住む団体であれば都道府県民共済があり、住んでいる住民であれば誰でも地域の共済に加入することができるということになります。例えば、東京都であれば東京都の都民共済、大阪府であれば府民共済というのが全国に39の組織があります。

⑤受取人が請求して受け取るお金

火災保険では、災害や事故等に遭い、損害を被った場合に保険会社へ請求をすることで受け取ることができるのが「保険金」や「損害保険金」と言います。そして火災共済では、これを「共済金」と言います。意味は概ね同じですが呼び名が異なります。

⑥加入者が支払うお金

火災保険では、保険の加入の契約をすれば、月払い、年払い、一括払いなどで加入者は「保険料」を支払います。これをしっかりと期限を守り、支払わなければ、万が一災害などに遭った際に、正当に保険金の支払いを請求することができません。火災共済においては、この加入者が支払うものを「掛け金」と言います。火災保険では、保険料の設定は、保険金額により異なります。保険金額は、建物を個別に評価することにより決定され、保険料もおのずと加入者によって異なるということになります。しかし、「掛け金」においては、加入者自身がどれほど保険料が必要かを考え、それに応じて「掛け金」を設定するスタイルとなります。

⑦剰余金が生じた場合に加入者に払い戻されるもの

火災保険は、利益を追求する営利団体で、加入者から集めた保険料を積極的に運用を行い利益を出しますが、特別な契約がない限り、原則加入者に割り戻されることや還元されることはありません。しかし、火災共済においては、加入者から集められた掛け金を運用することで出た利益など決算時に剰余金があれば加入者に割戻金として還元されます。火災共済はこの割戻金がるので、火災保険より実質割安で保険に加入することができるということがあります。大きなメリットの一つと考えることができます。

⑧保障の範囲が異なる

民間の火災保険は、保障の範囲が広く、火災などの災害のみならず、「騒擾」「盗難」など日常の生活で被害に遭う可能性のある事故等も保障してもらうことができます。しかし、火災共済においては、保障範囲はとても限られています。大きく分けて「火災」と「風水害」あと火災共済独自の「地震」に対する保障がります。

「風水害」に関しては、風災、水災がひとくくりにされているため、選択することができません。火災保険では、風災、水災など必要に応じて加入することができるので、火災保険と火災共済の大きな異なる点と考えることができます。

⑨地震保険の取り扱い、⑩地震保険の保障額

火災保険では、火災保険に加入することで政府運営の地震保険に加入することができます。この地震保険は、政府と保険会社が共に補償額を負担するという安心の補償となっていて、補償額も火災共済のものよりも大きくなっています。火災保険の場合は、地震保険に加入しないと補償を受けることができませんが、火災共済の場合は、基本補償に組み込まれていることが多いです。保障額は少ないですが、基本補償の掛金で地震の保障を受けることができるメリットと考えることができるかもしれません。

⑪特約の種類

民間の火災保険においては、特約は、保険会社によって異なりますが複数の特約から必要と思うもの選択できるのが一般的です。しかし火災共済においては、「借家人賠償責任特約」「個人賠償責任保険」「新価共済特約」などとても限られています。充実の補償をと思われるのでしたら火災保険が適しているかもしれません。

以上が火災保険と火災共済の大きく異なる点となります。その他、補償内容においても、災害や事故に備える保険として同じ意味合いのものではありますが、細かな補償の違いなどはあります。実際に加入を検討する場合はそういった違いもしっかりと比較し、検討しなければなりません。

それでは、次は、火災共済のメリットデメリットです。加入を検討する場合に他の保険などと比較検討するのはとても重要です。その上で、火災共済のメリットデメリットを把握していないと比較検討をするのは難しいと考えます。是非、火災共済のメリットデメリットも読んでみて下さい。

火災共済のメリット

火災共済のメリット
  • 掛け金が安い
  • 割戻金が分配される
  • 地域密着型や所属する団体の保険なので安心できる
  • プランが限られているので把握や判断がしやすい
  • 地震に対する保障がが含まれている

掛け金が安い

県民共済においては、木造の建物の場合、月々の掛金700円に対して1,000万円の保障を受けることができるなど火災共済は、火災保険に比べると比較的安く加入することができます。

都民共済、全労災、コープ共済、JA共済において比較してみましょう。

条件:東京都、戸建て(コンクリート造り)、20坪、30代2人世帯

保障の対象:建物、家財両方

共済掛け金(年額)
都民共済1万560円
全労災4万9,860円
コープ共済4万9,860円
JA共済18万2,073円

共済も団体により掛け金が異なるのが分かると思います。

全労災、コープ共済だと民間の火災保険とほぼ同じ保険料となります。やはり、都民共済、県民共済ですと破格の安さとみることができます。

また逆に、JA共済はとても高額となります。しかし、JA共済は、農業をされている方に適した補償が手厚くなっており、一般の方が加入するものと比較するのは難しいと考えます。さらには、こちらのJA共済の保険は、満期金があるため積立型の保険と考えることができます。高額な掛け金を支払うことになりますが、満期になりましたら受け取る満期金が含まれています。手厚い補償と、満期金を魅力に感じる方にはJA共済は適した保険と考えることができます。

割戻金が分配される

火災共済においては、決算時に剰余金が発生すれば割戻金として加入者に支払われます。割戻金の額は、年間における保険金の支払額などに応じて決定されます。共済金の支払いが少ない年には、その分、割戻金が高額で受け取ることができることもあります。平成28年度の割戻実績は、払い込み掛け金の30.34%となり、掛け金の約3割が返金されるということになり実質の掛金がかなりお得になります。火災保険では、特別な契約がなり限り原則このように返金されることはありませんので、保険料の点だけを見るとメリットが高いと考えられます。

地域密着型や所属する団体の保険なので安心できる

JA共済に関しては、農業組合に加入している方が互いに助け合う目的で共済が展開されているので、農業特有の建物などにも保障があったりと、団体の特質に合わせた内容になっていることがあります。農業を行う組合員が困ったときの助けにもなると思うと、組合員同士、直接的に助けることがなくても心強いのではないでしょうか。

また都道府県民共済などにおいては、全国生活協同組合連合会が運営しており、居住地の共済に加入することから近隣に事務所があったり、困ったときはすぐに事務所を訪ねることもできとても安心です。全国労働者共済生活協同組合連合会においては公務員の方等、団体に加入している方が所属先で加入することができます。COOP(コープ)というス―パーを利用されている方ならご存知の生活協同組合が扱っているコープ共済というものもあります。こちらですと、スーパーのコープで加入の申込みなどができ、日頃からスーパーを利用している方ならとても身近で手軽に加入することができます。

民間の保険では、仰々しく、万が一のために加入するのだから手軽に加入できるものがいいと思われる方にも共済はメリットが高いと考えられます。

プランが限られているので把握や判断がしやすい

火災共済では、保障内容がパッケージ化されているものが一般的で、主に保障の内容も「火災」「風水害」と大きくくくられていて、細かく保障を決める必要がありません。万が一のためにとものですから、全般的に保障してもらえると把握しておけば足りる感じですので、保険の細かいことを考慮、判断するのが煩わしいと思われる方にはとてもメリットが高いと考えられます。

割安の掛金で地震に対する保障も含まれている

火災共済においては、民間の火災保険での地震保険とは異なるいわゆる「地震共済」へ加入することができます。これにより、「火災」「風水害」だけでなく、地震による災害も割安な掛け金で保障してもらうことができます。

火災共済のデメリット

火災共済のデメリット
  • 保障額に上限がある
  • 政府運営の地震保険に加入できない
  • 台風、津波、洪水の被害の可能性が高いエリアの人は割高になる

保障額に上限がある

民間の火災保険では、加入する際に決定した保険金額が上限で、損害の程度に合わせて保険金が支払われます。一方火災共済においては、掛け金が安い分保障額に上限がある場合があります。

例えば、新型火災共済においては、保障額は総坪数により決定されますが、支払われる共済金は最大で4,000万円となっています。家財の保障額においては最大で2,000万円となっており、風水害による被害の場合は、被害額5%かつ最大300万円までという決まりになっています。掛け金が安いことで安心していると、実際に甚大な災害などが発生し、損害が膨大になったとしても、再建に必要な費用には到底足りないような事態にもなりかねません。

そうなると、掛け金で割安であったことが一転割高な保険ということにもなりかねませんので、被害に遭い安いエリアにあるような自宅の場合は、保険料が高くなったとしても民間の保険に入るなどして手厚い補償を選択するほうがいいかもしれません。

政府運営の地震保険に加入できない

民間の保険会社の火災保険で付帯することができる政府運営の地震保険では、被害額の50%までが保障額となっています。例えば2,000万円の家屋が全壊した場合、最大で1,000万円までの保障をうけることができます。一方、火災共済においては、政府運営の地震保険には加入することができません。火災共済独自の「地震共済」があり、火災保険による地震保険のおよそ20%の保障となっていて、地震による損害への保障額はより少なります。

例えば、新型火災共済によると、火災保障は、被害額の5%、かつ最大で300万円までしか保障されません。建物が全壊となった場合などは、到底再建費用には足りない状況は予測されますので、そういったことも頭に入れて保険の比較をしなければなりません。

保障内容を自由に選択したり、カスタマイズすることができない。

火災共済においては、「火災」と「風水害」あとは「地震共済」に加入するかどうかしか選択肢がないことが一般的です。さらには「風水害」の保障は、風災も水災もひとくくりにされているため、水災のリスクや、風災のリスクがそれぞれ低いエリアに住む人も水災を外す、風災のみを外すなどが選択できないため、余分に掛け金を支払わないといけないということになります。

万遍なく保障が欲しいという方にはおススメですが、リスクが高い災害に関しては保障を手厚くするなどができません。リスクに合わせて加入することができなければ、掛け金が安くても割高になることにもなりますので風災、水災の保障の調整をしておく必要があると考えられるエリアにお住まいの場合は、カスタマイズなどができる民間の火災保険が適しているかもしれません。

まとめ

いかがでしょうか。火災共済は、掛け金は民間の火災保険より比較的安くなる場合もありますが、保障額が限られていたりと、実質的に割高になることがあります。とはいえ、万遍ない保障を割安で受けることができるのがメリットであると考えれば、希望される方にはオススメの保険と考えます。

一概に誰にとってもお得であるとは言えません。保険は、様々な条件を考慮し最適なものに加入することをオススメします。


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